いつかの秋に作った詩

  • 天道虫をみなかった

古い友の眸子に写る輝きに
手繰り寄せられるようにして潜む蟷螂と
吾の足に絡みつく蔦の緑の美しさよ
不安に満ちて心落ち着かず
水音に喉を枯らす

  • 秋に空を携えて

オイディプスの声が左腕を浚うようだ
報復の愛情が睫毛を濡らし
乳白色に押しつぶされる
おーいと呼ばれ 待ってくれと叫んだ
時間が哲学をしていたのはもう一年も前だった

  • 浅い井戸に切符を投げた

都会は音が多いですね
プライドとお金が必要ですか
白昼夢は喫茶店で溶けた角砂糖の嘆き
電信柱に憎しみを込めて眠れ