さて、人とかいうもんは嫌なもので、その嫌なものである自分というのがあるな。
人生ってやつもだ。不平等で当たり前だしな。落ちて落ちて落ちて。ああ体がちぎれるようなね。そういうものだよ。この時期は御巣鷹山を思う。俺がまだ生まれる前の話だけどな。僕は原爆が嫌いで、原爆について語ろうとする人も嫌いだ。そこにいた人という、生身の人ってのは面白みもあるのだろうけどね。でも結局、殺した人間も殺された人間も嫌なものさ。人間である限りね。
釈迦が世界は美しいと言ったけれど、僕はそれがわからない。わかろうとしていないわけではないつもりだがな。人から聞いた真実と、自分で見つけた真実ってのは、どうしても後者のほうが重い。そういう意味じゃ転がっているものも金で買えるものも全て薄い。


今日自転車に乗っているときに思ったことがある。俺はクロスバイクという少しかっこよさげなものに乗っているが、最初慣れるのにサドルをだいぶ下げて、そしていまだにそのままだ。上げようかと自分に尋ねて俺は応えた。「俺には低いぐらいがちょうどいいのさ」。俺の全てがそうなのかもしれないな。