空の定義、感想

BS−hiで空の定義という舞台劇を途中から見た。いろいろと言いたいことがあって、まとまってないがまとまってないまま感想というか、文句というか、言いたいことを言いたいように言おう。一言でいうなら、面白かった。
まず革命だとか社会主義思想は人を殺すから嫌いだ。その点民主主義国家間の戦争は歴史上存在しないので、今のところ私は民主主義は保たれるべきだと思う。資本主義に関してだが、私は多くの人に感謝されて、多くの人にはできない特殊技術の必要な仕事に従事する人が多くの報酬を得るような社会が資本主義だと理解している。そういう点で現実は本当の資本主義ではない。公平な資本主義であれば、自然破壊などは起こらないと思っている。自然破壊が起こるのは感謝されない仕事をしても金を儲けることのできるシステムに問題がある。あと劇中で道路を無駄に作りすぎていることを嘆いている活動家が出てきたけど、道路が無い国に発展は無いということだけ言っておく。日本は道路が無い国ですよ。
女が出て行く、というときに私はきっと止めることはしないと思う。経験が無いからなんとも言えないが、私はいつもそういう妄想をするとき、「そっか、じゃあな」とだけ言って去っていく。同棲しているならば「じゃあ今から家のモノを分ける作業をしましょうか」と言う。あくまで妄想の中だけど、私は結構そういう人間なんじゃないかと思う。そういう点で、劇中の「追わない男」というところが一致する。こういう男のことを美化していうなら、やさしい男という言い方もできるのではないか。自分のことをやさしいというのはなんだけど、こういう男は女が「何かが欲しい」といったら、それに応えようとする。だから自由が欲しい女を引き止めることはできない。女が求めているのは、実はそんなやさしい男ではなくって、ガバッと掴まえてくれる人なのかもしれない。だから女目線でいうと、冷たい男という評価になるのかもしれない。
ただこの場合男が医者という立派な仕事に就いているのに、それを自分の夢のために捨てろという女の考えには首をかしげてしまう部分があった。女は女医、確かに女医になるまでの苦労を考えると、それを捨てろというのもおかしいのは同様だけど、子を宿しているのに、どうしたって産休は取らなくてはならない状況なのに、自分のアメリカ行きの夢のほうが大事というのは、男を信頼していない証拠だろう。最後はお互い理解し合えたようにも見えるが、この物語の続きを考えると二人に幸せは無いと思う。始めての出産と子育てで旦那の手助けが一切ないと、自分の元にいない男を恨み、男は自分の子供を見せてくれない女に腹立つだろう。医者という社会的地位の高い職業であればすぐに浮気相手なんて見つかってしまうのではないだろうか。きっと二人は失敗するだろう。
捨てられた娘と捨てた母親だけど、感情的に考えるとあの流れは正しい。娘が捨てた母親を罵倒するのは正しい。だけどなんとなく思ったのが、経済学的に考えたときの「費用」の話。今までかかった費用は考えず、これからかかる費用のみを考えて計算するというもの。これを考慮に入れて行動した場合、この母親がどんなに許せないとしても、今の父親には母親が必要だと計算して、「父の世話は任せる」と冷静に言えば今の自分にとって一番効果が高い。もちろんこれは物語としても感情としても自然な流れではないかもしれないけど。
あとどっかで「親のことを考えない子供はいても、子供のことを考えない親はいない」なんていう言葉を聞いたことがあるけど、うちの家はまさにこれだから、すごい私は幸せだと思うが、世の中を見渡すと子供のことを考えない親なんて大勢いる。そういう点で劇中で母親が娘に「あなたのことを一度足りとも忘れたことが無かったなんていいましたけど、嘘です。私は自分のことしか考えてませんでした!」というセリフはあながち本心かもしれないと思った。単なる捨て台詞と解釈するのが正しいとは思うけど、子供を捨てる親なんてのは、結局子供のことを考えていないのだと思う。劇中では「社会をよくすることが子供のためなんだ」という信念で動いていたことになってたけどね。
そんな感じで、いろいろと言いたいことはあったんだけど、書いてるうちに時間も経って、言いたいことも忘れてきた。とりあえずこんなものか。面白かったですよ。